世界最強の糸として知られる『クモの糸』。その凄さはずいぶん昔から知られていましたが、NASAをはじめ世界中で研究を重ねてもその凄さを利用することはできませんでした。
が、そんな中、日本の企業【Spiber株式会社】がやってくれました!
人工的にクモの糸を作る技術の開発と、出来た糸を利用した製品の開発に成功したんです!
人工クモの糸は2013年にはできていましたが、量産化までは出来ていませんでした…。
そして今回、その量産化のための工場がタイに作られることが決まりました!!!
これがどれだけ凄いことなのか、”自然界にあるクモの糸にどれだけの機能があるのか”から解説していきます。
『クモの糸』の機能
芥川龍之介の【蜘蛛の糸】という話があります。
死して地獄に落ちた『カンダタ』が、生前に1つだけした、”いい事”のおかげで、お釈迦様から助かる機会を得るという話ですね。
しかし、ふと下を見ると他の罪人が何百何千と続いて昇ってくるではありませんか。
「こんな細い糸、切れてはたまらない!来るな!俺の糸だ!」と、下からくる罪人を振り落とそうとしました。
途端、それまではビクともしなかった金の糸が、カンダタのすぐ上でプツリと切れ、下の罪人ともども落ちてしまいました…。
ここでは、お釈迦様の御業のように描かれている『クモの糸』の丈夫さですが、あながち間違ってもいないんです。
確かに、1本の糸で数千人を支える程の丈夫さはありませんが、重さ当たり強さが鉄鋼の340倍もあります。
強いうえに伸縮性もあり、『強さと伸縮性』の両立を果たしているおかげで1cmくらいの太さに束ねれば飛んでいるジャンボジェットですら捕まえる事が出来ます。
ところで、クモの糸が飛んできて、顔にベチャっとなって「うぎゃぁー」ってなった事ありませんか?
『強さと伸縮性』に加え、『軽さ』まで兼ね備えた奇跡のような糸なんです。
これだけの機能を兼ね備えた糸はクモの糸以外にはありません。
だからこそ、全世界で実用化に向けての研究が重ねられてきたのです。
『クモの糸』の量産が難しかった理由
虫の作る糸では一番実用化されている『シルク』は、蚕蛾を大量に飼うことで糸を採る事が出来るので、比較的安定した量を確保することができます。
しかし、クモは縄張り意識が強く、共食いまでしてしまうので飼育して糸を採る事が出来ません。
また、人工的に糸を作るにしても膨大なコストがかかってしまうため「技術的には出来ても実用的ではない」という状態でした。
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『クモの糸』を人工的に再現した『QMONOS』
先に紹介したSpiber株式会社は、山形県に本社がある比較的新しい企業です。
Spider(クモ)とFiber(線維)を掛け合わせた会社名でしょうね。こんな感じの名づけは好きです。
そして、開発した人工クモの糸の名前は
『QMONOS』
くものす。
たまらなく真っすぐな名前ですが、実際に口に出してみると凄そう&キャッチーな響きがします。(ヒートテックとかアクオスとかフリスクとかアクエリアスとかそんな感じ)
作り方
『QMONOSU』の作り方は、日本のお家芸ともいえる発酵技術が使われています。
作り方
- 微生物がクモの糸と同じ成分のタンパク質を作るように遺伝子を組み替える
- 増殖させる(発酵技術)
- 微生物からタンパク質を取り出してクモの糸と同じ成分の粉を作る
- 粉を固め、糸にする(特殊技術)
- 『QMONOSU』の完成
微生物の発酵技術は、日本が世界に対して1歩も2歩も先を進んでいる技術です。
その発酵技術が線維の世界にまで広がっているのは驚きを隠せません。
『QMONOSU』は実際に製品化が進められている!
大人気ブランド『THE NORTH FACE』を運営するGOLDWIN株式会社との共同開発で、すでに実際の工業ラインでの製造に成功しています。
まだプロトタイプ(試作品)の段階で。2019年以降の発売が濃厚です。

かっこよすぎます…。
その名も、”THE MOON PARKA”
形は、THE NORTH FACEの”ANTARCTICA PARKA”↓の物を使っています。
プロトタイプの段階なのでTHE MOON PARKAはまだ手に入りませんが、工場が出来て糸の量産が始まれば我々が手に入れられる日も遠くはないはず!!!!
また、車のシートにも使われています。
トヨタのLEXUSが2016年に発表したコンセプトシートで、その座る面に使われています。
”長時間座っても疲れない”をコンセプトに作られたシートに使われるのは、長時間・長期間座ってもヘタレないその強靭さからでしょうね。
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人工クモの糸の利用方法
衣料分野では安全性や耐衝撃性面での向上が期待されます。とりわけ、防弾チョッキやヘルメットなどに最適な素材でしょう。
輸送機器分野では、安全性の向上や軽量化が期待できるとともに、石油に依存しない素材としての期待値も高く評価されています。
建築分野や、電子機器分野での利用も想定されていおり、多岐にわたる活躍が期待できます。
今回、タイに量産プラントが造られる事でコストもさらに安くなるでしょうし、なかなか進んでいなかった分野への展開も加速していくでしょう。
最後に、私の希望を…
QMONOSUの事を調べれば調べるほど、私の中に湧き上がるある想いが高まっています。
スパイダーマンの誕生です!
「人が1人ぶら下がれるくらいの強度は確実にあるので、強度と粘度のある糸が開発されれば街中を糸をたどって飛んでいく事も可能になるのでは?」
「強靭な強度があるので、壁を昇る用の手袋も作れるのでは?」
「破れないスーツは確実に作れるだろうな!」
そんな事ばかり考えています。
実現しなくもなさそう…。
しまりは悪いですが、この話題に関しては以上です!