自分は年老いた時に幸せに暮らせているのだろうか。
健康で、お金にも困らず、笑って暮らせているだろうか…?
家族はどうなんだろう?独りぼっちじゃないかな?
将来への漠然とした不安ってありませんか?
子供の頃は、『将来』って言葉がキラキラして輝かしい物に見えていたのに、大人になってからの『将来』は年老いた自分を想像して、どこか不安を感じてしまいます。
その不安をどうにかしたいけど、どうすればいいか分からないじゃないですか。将来の事なんて。
でも、参考にできる人はいます。
人生の大先輩。
長寿大国日本の、高齢者です!
「あの時、こうしておけばよかったな…」
「あんな事、しなければよかったな…」
人生における後悔を、すでに経験済みである高齢者の話を聞くことで、今後どうすれば後悔なく人生を過ごせるかが見えてくると思います。
幸い、私は理学療法士という仕事をしており、毎日何人もの高齢者と話す機会があります。
リハビリの合間にする色々な話で、その人が『後悔している事』『良かったこと』を聞くことができます。
ここでは、長年生きて色々な経験をしてきたからこそ分かる、高齢の患者さんから聞いたリアルな後悔と良かった事を書いていきます。
歳をとってから『後悔している事』
「家は建てなければよかった…。」
『庭付きの一戸建て』って、ちょっとした憧れだったりします。
家族が多ければ広い家を建てます。多くなる予定で広い家を建てる人もいます。
子供が3人とかいれば、広めの家で無ければ余裕のある暮らしは出来ません。二階建てや三階建てにする必要もあるでしょう。
しかし、自分が年を取ればもちろん子供も成長します。成長すれば独り立ちをし、家から出ていきます。
残されたのは広い家に夫婦二人だけ…。
「掃除が大変」「広いせいで寂しさを感じる」「夫婦の距離が遠い」「冬が寒い…」
などを聞きます…。
もし、家を建てずに賃貸暮らしであれば、『家族の状況に合わせて家を変えることができる』ので、このような後悔は無かったでしょう…。
「庭は小さければよかった…。」
庭で子供を遊ばせたりバーベキューしたりと、夢は広がりますが、歳をとってからの庭の存在は苦痛でしかありません。
歳をとると、体も思うようには動かせません。やりたい事と出来る事のギャップは広がります…。
「花を植えないと殺風景だから頑張らないと」「草取りが大変」「庭の手入れを人に頼むとお金がかかる」
などを聞きます…。
どうしても庭が欲しい時、小さめの庭の方が後が楽です。広い庭はとにかく管理が大変!!
「庭木を植えなければよかった…。」
殺風景にならないように、庭木を植える家も多くあります。子供の誕生記念に植えたりも。
自分が歳をとった時には、その木も大きくなっています。子供とは違い、20年ほどで成長が止まる事はありません。
大きくなった木からは、その大きさと比例した『落ち葉』が落ちてきます。
毎日毎日の掃き掃除で腰を痛める人が続出しています。
「道路に落ちた落ち葉を掃かないと、人様の迷惑になる…。掃除が大変…。」「虫がわく…。」
などを聞きます…。
木は記念になるけど、ゴミも生み出す…。
「建てるなら立地を気にすればよかった…。」
家を建てる時は、まだ車を持っていたり元気だったりして、買い物に行くにもほとんど不便を感じないでしょう。
しかし、高齢になると目は悪くなるし運動能力も落ちます。車の運転どころか歩く事すらままならない状況に…。
買い物難民が多いんです!
「買い物に行くのにタクシーで行くから、タクシー代の方が高い」「欲しいものが欲しい時に買えない」「子供に毎回連れていっえ貰うのが申し訳ない…」
などを聞きます…。
どうせ建てるなら、利便性のいい所の方が後々困りません。
「子供を作ればよかった…。」
子育ては大変です。
成長に伴い、お金もかかります…。
子供が出来なかったのではなく、作らなかった人からは、ほぼ間違いなく
「子供を作ればよかった…。」
と聞きます。
夫婦は、寿命も同じようなものです。体が思うように動けなくなるのも同じような時。
そうなると、支えてくれるのは『子供』なんですね。
入院中、毎日のように洗濯物を取りに来たり何か買ってきてくれる『他の患者さんの子供』を見ると、なんとも言えない表情をされています…。
子供はできるなら作った方がいい。
「結婚すればよかった…。」
『独身貴族』という言葉があるくらい、独身は自由で気楽なもののように思えます。
しかし、老後は違います。
『高齢者の一人暮らし』程、キツイものはありません。親戚兄弟すらいない場合、なおさらです。
結婚できなかった人や、配偶者が先に亡くなった人はそうないのですが、『結婚しなかった人』は後悔を口にします。
『出来なかった』・『したけど独りになった』と、『しなかった』には大きな壁があるようです。
「年上の旦那にすればよかった…。」
年の差のある夫婦は、高齢夫婦にも多くいます。
大抵は、男性が年上で女性の方が若いパターンなのですが、まれに逆のパターンの夫婦もいます。
奥さん側が10歳以上も年上だと、「自分が死んだ後の旦那が心配…。」と、死後の心配を結構な割合でされています。
『何もできない男』って多くて、そのせいで入院期間を大幅に短縮して退院する奥さんもいます。
「男が残されるのは可哀そう」「死んでまでも心配が尽きない」「頑張って長生きしなければ…」
などの声を聞きます。
女性特有の思いやりと優しさから産まれる、男からすれば愛を感じる言葉ですが、死んでまでも心配しなければいけないので、安らかに眠れないかもしれません…。
「趣味を持てばよかった…。」
リハビリをするときに、『趣味』を聞くんです。リハビリのゴールを設定するのに必要な情報なんですが、無趣味の人が結構な割合でいます。
「仕事が忙しくて趣味を持てなかった」「仕事が趣味みたいなものだった」「昔はバレーをしていたんだけど今はもうできないし」
などの声を聞きます。
趣味を持つも持たないのも自由ですが、『趣味を持っている高齢者の方が圧倒的に元気』なんです。
また、同じ病院で10年以上働いているので同じ患者さんの10年間の変化もみています。
趣味を持っている人の方が、老けにくい!!
趣味を持っている人の方が、楽しそう!!
これは断言できます。圧倒的な差です。(エビデンスはありません)
特に体を動かす趣味を持った人の方がいいですね。
定期的に運動する習慣があるからだと思います。動かさないと体は動かなくなります。
「車の免許を取ればよかった…。」
歳をとると、長距離歩くのがきつくなります。少しの距離でも歩くのが難しくなることも…。
そんな人から、
「旦那が運転できなくなったから、出かける事が出来なくなった…。私も運転できていればよかった…。」「車さえあればもっと出かけられるのに…。」
などの声を聞きます。
旦那さんが運転できるからと、自分は免許を持っていなかった奥さんからの声ですね。
バスは本数が無いし、バス停も遠いしで、車移動しか現実的な移動手段が無いんです。
都会の方に住んでいればまだいいでしょうが、田舎に住むとこれが死活問題になります。
免許は取っておいた方がいい!
「運動しておけばよかった..。」
『貯金』をしている人は多いですが、『貯筋』をしている人は少ないのが現状です。
お金を貯めようと思わないと、貯められないのと同じように、筋肉もつけようと思わないとつきません。
人間の体は、骨という積み木を筋肉で支えているので、筋肉が絶対的に必要です!
これは、高齢になると特に顕著で、筋肉のある人と無い人では雲泥の差が産まれます。
若いうちは体を動かすのもきつくは無いので、多少はキツイ運動もできますが、高齢になるとキツイ運動は難しくなります。
早い段階から筋肉をつけておき、高齢になってからはそれを維持する程度の運動をしておくのが理想です。維持だけならキツイ運動は必要ありませんからね。
「姿勢を気にしておけばよかった…。」
『背筋の曲がったおばあちゃん』って見かけませんか?
たまに、直角くらい曲がった人もいます。
あそこまで曲がっているのは、背骨が『圧迫骨折』という骨折を、連鎖的に起こしているせいですが、今現在が『猫背』程度の人には、将来的に背筋が曲がるリスクがあります。
猫背で長年過ごしていると、その形に体が作り変えられてしまうので、直そうと思っても直せなくなります!
ギリギリ50代~60代前半くらいまでであれば、比較的姿勢をいい方向に持っていけます。しかし、それ以上になると厳しいですね。
比較的簡単に姿勢を正せるのは30代まで。『本人にやる気があれば』というのが大前提ですけどね。
10代20代は1回のリハビリで結構変化が見られます。
若い方が姿勢も正しやすい。
歳を重ねると、姿勢を正すのもどんどん難しくなる。
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してて良かった事
ここからは、患者さんから聞いた『マネしたくなること』を書いていきます。
「保険に入っていてよかった」
高齢になると、それだけ生命保険にかかる金額も大きくなります。
それに、終身保険であれば若いうちに入ってしまった方が安く済みます。
保険にしっかりと入っていると、ケガや病気をしやすくなる高齢になった時の『もしも』に備えることができます。
もちろん、入院費は『高額医療費の対象』なのでべらぼうな金額にはなりませんが、長期的に高い薬を飲まないといけないとか、入院期間が長くなるとかなると、金銭的な負担は大きくなります。
そんな時に『保険の有無』は大きな差です。
保険のある人は、入院日額いくら~みたいな形での保証があるので、安心して入院していられますが、保険のない人は病院側が「もう少し入院していた方がいい」と言っても、金銭的な問題で退院されます。
ケガや病気をしやすくなる高齢期に、安心して治療が受けられるかどうかが変わります。
「アパートを持っていてよかった」
サラリーマンの副業として『アパート経営』は人気ですが、高齢者でも同じです。
アパートの土地と建物さえ所有しておけば、管理から入居までを不動産会社に任せてしまえば不労所得が得られます。
自分が働けなくなっても、アパートが勝手にお金を稼いでくれるので、孫にお小遣いをあげたり、自分の好きなものを買ったりと、生活に余裕が持てます。年金も少ないですからね…。
私が見ているだけでも、年金だけで暮らしている人と、副収入がある人では生活が違います。
自分が稼げなくても、アパートが稼いでくれるというのは魅力的です。
「いい所に土地を持っていてよかった」
土地って、価格の変動が大きいものの一つです。
昔はド田舎で格安だった土地が、『高速道路が通る』『人口が増えて利便性が高まった』などの理由で一気に価値が上がることもあります。
私が住む所も、10年前に比べて一気に土地の値段が上がり、今では簡単には家を建てられなくなっています。
親から嫌々引き継いだド田舎の土地でも、もしかしたら化けてくれるかも…!
「教育に力を入れてよかった」
人は学び、成長する生き物です。
『教育にかけたお金や時間が多い程、その子の将来の年収が高くなる』という統計データを見たことがあります。
医者の子供が医者になり。政治家の子供が政治家になるというのは、教育資金の差にもよると聞きます。
もちろん、親が色々と教えられるのであればお金をかけなくても教育は出来ます。
私の知る、最たる一例を紹介します。
Aさん夫婦は、教育の大事さを知っていました。しかし、生活に余裕がなく教育資金はあまりありません。大学にも行かせてあげられない状態でした。
しかし、多数の本を読み自分たちで教育をし、息子さんは今では『高卒で官僚』になっています。(厚生労働省で偉いポストにいるらしい)
お金をかけなくても、子供を官僚にまでさせてあげられています。
教育は大事!
「ご近所さんと仲良くしていてよかった」
『遠くの親戚より、近くの他人。』とは、よく言ったものです。
親戚や子供がいっぱいいて、気にかけてくれていても、遠くにいたのでは何かあった時に頼りにはなりません。
そんな時、ご近所さんが助けてくれているパターンをよく見かけます。
そんな人を見るたび、『ご近所づきあいの大切さ』を思い知らされます。
ご近所づきあいが上手な人の特長も書いていきます。
- 話し上手というよりは聞き上手
- おすそ分けをよくする
- 相手を気にかけている
- 笑顔が多い
こんな感じですね。おしゃべり上手である必要はありません。
「娘がいてよかった」
跡取り息子が必要な家なんて、限られています。由緒ある家か、家業がある家かです。
今時は、男よりも女が主導権を持つ家庭が多いので、実家に帰るにしても『嫁の実家』となる場合が多くあります。
自分が高齢になって、子供の帰省が楽しみになった時、娘であれば頻繁に帰ってきてくれる可能性が高くあります。
入院患者さんの面倒を見ているのも、娘さん率が圧倒的に高いです。
将来的に助けてくれるのは娘の場合がほとんど。
「息子なんて、いても何の役にも立たない!」と言っている高齢者も結構いますw
「色々な仕事をしていてよかった」
1つの企業で定年まで勤め上げる事が美徳とされていました。今でもそれは根強く残っています。
しかし、1つの事しかやってこなかった人と、色々な仕事をしてきた人では、『出来る事の数』が違います。
何でも屋みたいに何でもできる人と、1つの仕事しかしていなかった人では、トラブル解決能力に差が出ます。
色々な経験を積むことも大事ですね。
「仕事を続けていてよかった(70代80代でも)」
『定年退職して年金暮らし』それからの『第2の人生をゆっくり過ごす』ってのが人生設計にある人、もう少し考えてもいいかもしれません。
年金収入だけになると、使えるお金は急激に減ります。
だからと言って、急に生活の質を下げる事はできません。
人生90年時代に入ろうかというこのご時世、退職金の貯金なんてすぐに底をつきます。
老人ホームに入るにもかなりのお金がかかります。
本当に第2の人生でしょうか?リセットされているんでしょうか?
人生は1度きりです。定年までに億単位の貯金を作れたならいいですが、そうもいきません。
働けるなら、何でもして働いていた方がいい!
沢山の高齢者をみていると、働いている人と働いていない人では、認知機能・身体機能共に結構な差が出てくるように感じます。
老けたくないなら、働くべきです。
「家事をしていてよかった」(男)
『男は外で稼ぐ、女は家を守る。』
この、共働きがほとんどとなった今でもその気質が残っていますが、昔はそれが顕著でした。
家事を何一つやったことの無い男の人もたくさんいます。
本当に、『カップラーメンすら作れない人』っているんです。
そんな場合、奥さんに先立たれてからが大変です。何もできないんですから、家は荒れ放題だしご飯はスーパーで買ったお惣菜ばかり…。
かなり荒んだ生活になります。
逆に、家事をしっかりとしてきた人は、男の一人暮らしでも掃除・洗濯・ご飯作りをしっかりされています。
特に、洗濯ができる人は、私からすればありがたい!
だって、荒んだ生活をしている人は毎日同じ服で過ごしているんだもん…。
はっきり言って、臭くて誰も近寄りたがらないんです。(もちろん、そんな事を感じさせないように対応しますけど…。)
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よく言われているけど、実際に人からは聞かない事
よく、ニュースサイトなどで【歳をとってから後悔の無いように気を付けたいこと5選!!】みたいな記事を見かけるのですが、はっきり言って信憑性は低いですね。
偉人の言葉を引用してコメントしているだけのペラペラな記事が多いんですもん。
よく言われるけど、実際には聞かない事もまとめてみました。
若いうちに旅をしろ
『若いうちに旅をして、色々な感性を取り入れ、広い視野で物事を見られるように』みたいなことを言われますが、出会ったことのある高齢者で、若いうちからよく旅をしていた人って、なぜか頑固者の自己中心的な人が多いんです。
これは、理由が全然分からないのですが、なぜか、多いんです。
旅をしたからって、人はそうそう変わらない…。
若いうちの苦労は買ってでもしろ
『若いうちに苦労すると、将来が安泰だ。』などと言われますが、わざわざ苦労をしても、狡猾な人にその労力が搾取されるだけです。
もちろん、先々の大きな目標を立てての、それに進むための苦労であればいいのでしょうが、ただただ言われるままにした苦労は意味がありません。
高齢者の昔の仕事の話を聞いても、「そんなに働いたのに全然自分の為になっていないじゃん…。」って場合が多くあります。
若いうちの苦労は、考えてからしろ!
これが正しいと思います。
友達を多くもて
友達が多いのは、もちろんいい面が多くあります。困った時に助けてくれることもあるでしょう。
でも、年を取ってからは違います。
助けたくても助けられない事がほとんどです。
友達より、家族や仲のいいご近所さんを多く持ち、大切にしましょう。
高齢になってからはそっちが大事です!
親孝行をしろ!
親孝行は大事。
生んで、育ててくれた親への感謝はいくらしてもしきれるものではありません。
でも、それは自分が子供の立場にまだいるから。
高齢になり、親がすでに死んでいて残るは子供と孫のような状態になった時に、「親孝行しておけばよかった」なんて言う人は聞いたことがありません。
なぜなら、『親は感謝されたくて子供を産んで育てたわけではないから』
また、『親は、子供がただいてくれたらそれだけで満足だから』
それに気づくのは、自分が上の立場になった時です。
高齢になってから後悔する事ではないのです。逆です。
若いうちに親が死ぬと「親孝行しておけばよかった」と後悔するようになるので、やっておいたほうがいい事ではありますけどね。
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まとめ
私が、今まで接した数百人から聞いたことを、思い出しながら書きました。
多分、まだまだあるんでしょうが、少しずつ思い出しては書き足していきたいと思います。