皆さんは『死戦期呼吸:しせんきこきゅう』というものを知っていますか?
ものすごく簡単に言うと、「今にも死にそうな人の、呼吸のような動き」の事です。
今、この『死戦期呼吸』がニュースでよく取り上げられています。
死戦期呼吸に関するニュースの概要
野球部の女子マネージャーが、練習後に野球場から学校までの3キロの距離を部員と一緒に走って帰り、帰り着いてすぐ倒れこんで亡くなった。
なお、普段マネージャーはマイクロバスで移動していたが、この日はケガをした部員がいたため、たまたま走って帰ったとの事。倒れてから救急車が来るまでの間、「弱いが、呼吸はある。」と監督が判断し、AEDは使わなかった。
死因が『低酸素脳症』であり、倒れた時には『心室細動』を起こしていたため、AEDを使えば助かったかもしれない。警察は、業務上過失致死の疑いも視野に監督などに話を聞いている。
用語の解説
専門用語が多いので、簡単ですが解説します。
低酸素脳症
今回の死因。
心臓が止まり血液が止まる事で、脳に酸素を送れなくなり、酸素不足が続いた事で脳に何らかの障害が起きた状態の事。
心室細動
心臓が小刻みに震えて全身に血液を送れなくなる状態。
心臓は電気刺激で規則的にドクン・ドクンと動いているが、これが不規則に動き出し、心臓の機能が果てせない状態。
AEDを使えば、正しい動きに戻す事が出来る。
死戦期呼吸(ギャスピング)
死戦期呼吸とは、心停止直後の人に見られる呼吸に似た動きの事で、実際には呼吸が出来ていない動きの事です。
- 下顎呼吸
- 鼻翼呼吸
- あえぎ呼吸
といった種類があり、いずれも呼吸しているように見えますし、シャックリしているようにも見えます。でも、実際は呼吸が出来ていないので呼吸に伴う胸の動きが出ません。
また、普通の呼吸と死戦期呼吸を見分けるのは素人には難しいので、少しでもおかしい場合はAEDを使いましょう。
動画
1分程度の参考動画を張っておきます。
※本当の死戦期呼吸ではなく、再現です。
死戦期呼吸に関してもっと詳しく知りたい方、はこちらの動画が大変参考になります。(9:30)
今回のニュースの事例では何が悪かったのか
今回のニュースで、まず悪かったのは、普段走っていないマネージャーを走らせた根本的な所では無く、「呼吸がある」と素人が判断したことだと思います。
運動中の突然死を聞く事は珍しくなくないですし、教育現場でも救命の講習があります。
監督の立場であれば、このような事は知っていなければなりません。野球を教えるだけが監督の仕事ではありません。
選手・マネージャーの安全も守らなければいけない義務があります。
119番通報した時に色々質問をされますが、通信指令室から「呼吸は規則的ですか?」と聞かれるはずです。以前は「呼吸はありますか?」という聞き方だったのが、変わりました。
『死戦期呼吸』があるからみたいですね。
ここで、疑問なのですが
『通信指令室の職員は、AEDを勧めなかったの?』
電話先の相手は素人なので、『死戦期呼吸』と『普通の呼吸』の見分けがつかないはずです。
状況的に心室細動の可能性は高いので、相手の言葉を信用しきらず念のためでもAEDの使用を促しても良かったのでは無いでしょうか?
学校なので、敷地内に絶対にあるはず。
色々な要因もあるでしょうから一概には言えませんが、今回の場合に関しては監督よりは通信司令室の方に過失がありそう…。監督が119番しなかったら責任問題だけど、119番している訳だしね。
だから監督を業務上過失致死とかで責めるのは少し違う気がする。
教え子を失って自分を責めているだろうし。判断が間違っていたのはあるけど、緊急で冷静な判断ができたかどうかは誰も言えないですし。その為に119番がありますし。
こんな事にならないためにも、正しい知識を持ち、日頃から備えておく事が大切。
まとめ
- 呼吸の確認は胸郭の膨らみを見る。迷ったら呼吸していないと判断していい!
- 迷った時はAEDを使う!
AEDは、機械自体が電気ショックが必要かどうかを判断し、必要無い時に電気ショックはしません。 - 対処法をしっかり頭に入れておく事が、目の前の人を助ける一番の救急法
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